人生のどん底を救ってくれた「ばあちゃん」に恩返し。アカデミーで生まれた、超高齢化社会を乗り切る新しいアイデアとは!? | ボーダレスアカデミー | 社会起業のためのソーシャルビジネススクール
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アカデミー生インタビュー

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人生のどん底を救ってくれた「ばあちゃん」に恩返し。アカデミーで生まれた、超高齢化社会を乗り切る新しいアイデアとは!?

元気なばあちゃん達に
働く場と生きがいを

どんな社会問題に取り組んでいますか?

僕の地元である福岡県うきは市で、75歳以上の元気なおばあちゃんに対し、「働く場をつくる」という目的で、おばあちゃんたちの特性を活かした食品や農産物加工品の製造、販売をしています。
(※食堂は、コロナ禍の影響で2022年3月に撤退)

うきは市は、超高齢化社会で一人暮らしの高齢者の方がたくさんいます。知り合いのおばあちゃん達に話をきくと、実は受給されている国民年金だけだと、生活が厳しい現状があるということを知りました。

そこで僕たちは、おばあちゃんたちが「働く」ことで地域・社会に参加することで孤立を防ぎ、働くことで誰かに必要とされ、生きがいを感じてもらう世界を目指しています。

主役はおばあちゃんたちですが、サポートする若い世代のスタッフたちと共に多世代が協力する仕組みになっていて、メンバーは20代〜80代までいるんですよ。

見つめ直した
「はたらく意味」

社会課題に関心を持たれた経緯を教えてください。

僕は10代の頃からバイクが大好きで、バイク専門の整備学校に通ったり、アメリカ製の旧型バイクを修理したりカスタムしたりする店で働いていました。その後バイク事故をきっかけにその道は閉ざされ、飲食店のバイトや自営業など、色んな仕事を経て、最終的にはデザイン会社を設立をしたんです。

仕事は順調でしたが、一緒に働いていたメンバーとこれから先も商業デザインだけをやっていくことに「何のために仕事してるかわかんないよね」と話すことがあって…。せっかく今までストイックに、マーケティングやデザインを頑張ってきたんだから、もっと人のためになることや、困ってる人のためにやりたいよね。とよく話していました。

僕の故郷であるうきは市は、ある一面では観光業で賑わっているんですが、 典型的な超高齢化地域なんです。僕ら若者も困ってはいるんですが、じいちゃん、ばあちゃんたちも困ってるんですよ。

やるならこれだ!と思い、当初は「地域の高齢者や地域活性のため」に動こうとしていました。

運命の出会い。
デザインからビジネスの道へ

アカデミーとの出会いを教えてください。

当時働きながら、日本デザイナー学院というデザインの専門学校に通っていました。その授業中に先生が「みっちゃんにぴったりのがあるよ!」と、ボーダレスアカデミーを教えてくれたのがキッカケです。

僕も、地域課題の解決に関心があって、ソーシャルデザインを勉強しにその学校に通っていたので、ボーダレスアカデミーのサイトを見てすぐに興味を持ちました。

ソーシャルデザインって、社会の課題に対して、デザインでアプローチしてみよう。というものですが、側面としては、クライアントになる自治体や地域の団体さんから依頼を受けないと始めることができない面もあるんです。

デザイナーからだと事が起こりにくくて、何かの「事」に対しての手段がデザインだったので、デザインと実行動(ビジネス)を組み合わせることができれば、僕もなにか前進するかなと思って。

アカデミーは、それを学ぶ場だと思ったので、紹介してもらってすぐに申し込みました。先生も驚いて「俺も行く!」って言って、先生と僕はアカデミーの同期になったんですよ(笑)

入学初日「5点」と言われた
ソーシャルコンセプト

入学後の感想を教えてください。

今でも鮮明に覚えているんですが、一番最初の授業で、入学時点でのプランを発表したら代表の たぐっさん(田口)に「このプランは5点だ」と言われたんです。うわあ、10点満点の5点か~と思っていたら、100点満点の5点だって言われて(笑)

なぜ5点かというと「対象者が全然明らかじゃない、鮮明じゃない」と言われました。

今ではよく理解できるんですが、当時はその意味が全然わからなくて。
「何言ってんすか。地域のじいちゃん、ばあちゃんたちのためですよ!」と、その言葉を消化できていませんでした。

人生のどん底で
笑顔をくれた
ばあちゃんに恩返しを

「プランが5点」と言われてしまった後、四六時中「誰のために」という対象の深堀りをしました。

このときが一番苦しかったのですが、ある日同期に「自分の人生を考えたときに、この人達のためだったら、たとえ儲からなくても、たとえ時間を使っても、自分が何かを失ったとしてもやるんだ!と思える人が誰なのかを考えてみたら?」と言われたんです。

原体験などを洗い出し、辿りついた答えが「入院時に助けてくれた、ばあちゃん達に恩返ししたい」という想いでした。

実は事故の怪我や後遺症によって、幼い頃からの夢であるバイク整備の仕事への道を奪われ、精神的にかなり追い詰められていたんです。

事故で約4年間に及ぶ入院の中、ふさぎ込み自暴自棄になっていた僕に、同じ病院に入院していたばあちゃん達は、ふさぎ込んで不安定な精神状態の僕にそんなことはお構いなしに何度も話しかけてくるんですよ。最初は落ち込んでいたこともあり、ずっと無視をしていたんですが、いつの間にかそんなばあちゃんの言葉に笑ってしまって…。いま僕がこうやって笑えたり、元気でいれるのも、ばあちゃん達のおかげなんです。

時間はかかりましたが、そうやって現在の、ばあちゃんたちのお困りごとをビジネスで解決していくというソーシャルコンセプトに固まりました。

僕らが未来へ
明るい仕組みを残したい

参加を決めた一番の理由を教えてください。

最大の理由は、たぐっさんのTED(※1)ですね。「これから先の時代は、何を得るかじゃない。何を残すかだ」という言葉が、ビビビッと来ました。

たぐっさんと偶然同い年なんですが、僕は同世代の友人と議論したり、語る時がよくあって…。前の世代から受け継いだものを、次の世代に繋いでいく話をしていたんですよ。

僕らは、世界とまでは言ってなかったんですけど、日本とか身の回りのことが変えられるとするならば、もしかしたら僕ら世代が動かなきゃいけないのかもね。みたいな話はよくしていました。僕ら40代は、若い人たちの気持ちもわかるし、年寄りとかおっちゃん、おばちゃんの言うこともわかる。ちょうど中間にいると思っていて。

メディアも含め、これからは高齢化社会でお先真っ暗だとよく耳にしますが、少しでも明るい仕組みを未来へ残していけたらなと思います。

(※1)世界中で95万回以上再生された
ボーダレスアカデミー代表 田口のTEDxHimi
「人生の価値は、何を得るかではなく、何を残すかにある。」
https://www.youtube.com/watch?v=cjtmDEG-B7U

先人に学ぶ
田舎コミュニティの極意

アカデミー期間中に印象に残ったエピソードを教えてください。

たくさんあるので、3つだけお話できればと思います。

ひとつめは、山田拓さん(※2)の言葉ですね。
もともと都会にいらっしゃって、いま飛騨高山に拠点構えて事業をされている方で、まさに「都会から田舎のコミュニティに入ってきた方」なんです。

僕も田舎にいるのでよくわかるんですが、良くしようと動いても、足を引っ張る人とか、攻撃的な人がいらっしゃって、田舎にいると事業をするうえで変なところでつまずくんですよ。

拓さんの本の中でも最後の締めくくりにあるんですが、「みんなその街を意識的に悪くしようなんて人たちは本来いない。けれど、人間同士のいろいろな思惑で、ぶつかってしまったりする。それを解決するには、皆さんが持ってる『意思の総和』が必要だ」とおっしゃっていたんです。

そして、その手前のプロセスとして、対話したり、コミュニケーションをとることが必要だよねっというお話で。田舎のそういうコミュニティって、 自分から直接動いていけばすぐに対話はできるんですよ。そういった地道な活動や行動が必要なんだっていうのは、すごい身にしみて分かって、自分もそうしようと拓さんの言葉を聞いて思いました。

(※2)アドバイザリーボード
株式会社 美ら地球 代表取締役社長 山田拓さん
▶︎https://academy.borderless-japan.com/review/yamadataku/

踏み出すことが怖くても
あとはただ、飛び込むだけだ

春山さん(※3)の「ドリャーおじさん」の話ですね。

ドリャーおじさんっていうのは、崖から意味もなく海に飛び降りる謎のおじさんなんです。昔から人気のテレビ番組「探偵ナイトスクープ」で取材をしていて、そのおじさんに「なんでこんなことをやっているんだ」と聞いたときに「これ自体に何の意味もねえ」みたいなことを言っていたんですよ。「ただ、飛び込むだけだ」と。

春山さんは、起業とそれは同じだとおっしゃっていて。

この崖から飛び降りて怪我したらどうしよう。一歩踏み出すのが怖い。 けれども、結局後は飛び込むだけ。あとは怪我をしないように、ライフジャケットを準備して、なるべく岩場じゃないとこに飛び込む。それが計画とか準備だと思うんで。

やっぱり起業って最後の踏ん切りがつかずに、諦めてしまう人っていっぱいいると思うんですよ。

最終的に崖から飛び込まなきゃいけないのならば、「あ、もう飛び込もう」って決めました。ドリャーおじさんの話は、すごく本質をついてるなと思って、今でも心に残っています。

(※3)アドバイザリーボード
株式会社ヤマップ 代表取締役社長 春山慶彦さん
▶︎https://academy.borderless-japan.com/review/haruyamayoshihiko/

ばあちゃんが働く会社の
名付け親!心強いメンター

アカデミーでは、多くのアドバイザリーボードの方々が伴走してくれるのですが、中村修治さん(※4)は、おばあちゃん子だったこともあり、当初から「絶対に応援したい」と言ってくださっていました。ちょうど2、3日前も修治さんと会っていたんですよ!

「ばあちゃんが働く会社」のサービスやネーミングを授けてくれたのも修治さんで、戦略的なアドバイスもたくさんいただきました。アカデミー時代から「やる前提」で色んなことを授けてくれて…。卒業後も、こうやってサポートいただけることは本当にありがたいです。

他にもアドバイザリーボードの方には、沢山アドバイスをいただいたのですが、ちょっと言い切れないですね(笑)

(※4)アドバイザリーボード
株式会社木ナックスホールディングス 取締役会長 中村修治さん
▶︎https://academy.borderless-japan.com/review/中村修治/

アカデミーの真骨頂
大人になって出会う仲間たち

同期の皆さんと交流はありますか?

今もめちゃめちゃ仲いいですよ!僕は関わりがある方で、未だに相談し合ったり、定期的に会います。たぐっさんが言ってくれたんですが、実はこのボーダレスアカデミーは、社会起業家育成の学校ではあるけれど、真の目的としては、やっぱり仲間なんだよ。とおっしゃっていたんです。

同じ釜の飯食うじゃないけれども、テーマは違えど同じ意識や志を持って、一緒に学んで、相手のことも深く知ることができる。

議論もヒートアップする時もあるので、言い合いになることもありましたが、本当の喧嘩には絶対ならないですね。それはやっぱりお互い信頼していて、こいつはガチで自分のこと考えてくれてると思ってるからです。本当にそれが仲間だなと思います。

40歳を過ぎて、飲み友達ぐらいはできるにしても、そんな仲間ってなかなかできないですよね。どんなときでもずっと付き合えるんじゃないかな。だから、起業している・起業してないも関係ないですね。

全国にひろがれ!
超高齢化社会を乗り切る力

今後のビジョンを教えてください。

僕がやっている「75歳以上のこと」って、コンセプトや発想を評価していただくことが多いのですが、それが当たり前にならなきゃいけないと思っています。

そして今、対象をばあちゃんたちに絞ったことで、じいちゃんとはまだ向き合えていないんです。事業として、最終的にはばあちゃんだけでなく、じいちゃんにも何かしたいと思っています。じいちゃんたちの方が実は深刻なんですが、まだ検証も調査も終わってなくて……。

今は、ばあちゃんの働く仕事と場作りを一所懸命やってるので、まずはそこから進めていくこと、あと今後は、働きたいばあちゃんと仕事のマッチングをしていきたいです。

ありがたいことに、僕らがいま問題提起してることによって、全国各地でおばあちゃんたちの働く場を作ろうっていう動きがすごい出てるんですよ。全国からやりたいという声が届いているので、どんどん加速させていきたいですね。

完成した形態も、もちろん残したいですが、必ずしもできなくてもいいと思っています。次の時代になったら、また細かい問題って出てくると思うので、僕はその気運を次の世代にバトンタッチしたいですね。

こうやって超高齢化でも、もっと前向きに、我々現役世代もじいちゃんばあちゃんも地域で働くことで、前向きにやっていけるような道筋を作れればなと思っています。

まずは一歩!
進むために挑戦を

卒業生から、アカデミーを検討している方へメッセージをお願いします!

僕から伝えたいことは「トライアンドエラー」です。

アカデミーもそうですが、まずは挑戦してみないとなと思います。
挑戦すると、失敗するかもしれないけれど、挑戦しないと何も起きない。

ぜひその一歩を進んでもらいたいと思いますね。

僕は起業前に、アカデミーで学ぶことによって 「何のためにやるのか」が確立しましたし、ここで覚悟が生まれたと思います。

アカデミーに参加していなかったら、今の事業は絶対やっていない。
やっぱり僕の場合は、ここでやっぱ作り上げたと思っていますね。


みっちゃん、ありがとうございました!

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