「何歳になっても心豊かな人生を」高齢者と外国人実習生との繋がりを育み、誰もが生きがいある社会へ。 | ボーダレスアカデミー | 社会起業のためのソーシャルビジネススクール
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アカデミー生インタビュー

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「何歳になっても心豊かな人生を」高齢者と外国人実習生との繋がりを育み、誰もが生きがいある社会へ。

国を越えて、家族のような
つながりを

遠藤さんは、どんな社会問題に取り組まれていますか?

高齢者が抱える「孤独」と、若くして母国を離れ、日本で働く、介護外国人実習生の抱える「不安」。現在、私はこの2つの問題に取り組んでいます。

高齢者と技能実習生という2つの課題に気づいたキッカケを教えてください。

病をきっかけに、どんどん
ふさぎこんでいく父。

今から5年くらい前に、父親が胃がんを患いました。治療をして、体はすっかり回復したのですが、体力に自信がなくなったと感じた父は、仕事を引退しました。仕事は祖父の代から続く自営業で、お店は弟が継ぎ母親も健在。家族も近くにいたので、孤独という状況ではなかったと思いますが、みるみるうちに元気がなくなってしまいました。
当時はわかりませんでしたが、今思えば、病気で体力が落ち、人に手助けをしてもらうことが多くなったり、仕事を辞めて、誰からも必要とされていない、と感じてしまっていたのではないかと思います。

どんどん、ふさぎ込んでいく父を見て、「本当は歳を重ねるごとに大切なものが増えていくはずなのになぜ落ち込んでしまうんだろう。どうしたら、人がいくつになっても、心豊かな人生をおくれるようになるのだろうか。」
と、高齢者の孤独と生きがいについて考えるようになりました。

科書だけでは解決できない
仕事の場面で使う日本語の難しさ

一方、介護業界の人材採用に関わる中で、たくさんの技能実習生との出会いがありました。学校を卒業してすぐ、家族の生活のために日本にやってくる実習生もまた様々な不安や問題を抱えて入国してきます。

なかでも、仕事の場面で使う日本語がわからないこと。特にご利用者様と生活を共にする介護の現場では、日本の普段の生活や習慣を理解することが大切ですが、それを学ぶ機会はほとんどありません。そしてまた日本に身寄りもなく、安心して相談できる人もいないのです。

ある技能実習生とのエピソードがありました。彼女は、入国して1年たたない内に、日本語検定1級を取得するほどの努力家でしたが、施設の献立表を見て愕然とします。

「あんなに勉強したのに、漢字が読めない。」
「料理の味がわからない。」
「これじゃあ、ご利用者様と楽しい食事の時間を過ごせない。」

私は、彼女のそんな姿に触れ、現在の実習生の受け入れまでの教育プロセスに、多くの課題があると日頃から感じていました。

高齢の父と実習生
偶然の出会いから生まれた奇跡

あるとき、病気になりふさぎ込んで込んでいた父と、私が仕事で出会った介護外国人実習生が交流をもつ機会があったんです。1人の実習生が父に、「鯖の塩焼き、おじいちゃん、これなんて読むの?」と質問をしました。

それを皮切りに、実習生から魚の名前や漢字の読み方など、矢継ぎ早に投げかけられる質問に、父は、「じゃあ、今から寿司を食べに行こうか」と、答えていきました。実習生もまたそんな父を、母国の家族を想うように「おじいちゃん、歩き方が変だよ。左足痛いの?」と、まるで祖父と孫のような温かな交流が生まれるようになったのです。

きっと父は、彼らとの交流を通じて、「頼りにされて役に立つことのできる自分」を、ふたたび感じられるようになったんじゃないかと思います。私たち家族が驚くほど、みるみる元気を取り戻していきました。

そんな父と実習生を目の当たりにしたときに、「もしもこんな出会いをたくさんつくることが出来たなら、お互いにとって、とても素敵な何かが起こるのではないか」と感じたことが、自分の想いに挑戦してみようと思った一番のきっかけです。

日本に降りかかる
2025年、介護問題

私は社会に出て以来、ずっと人材領域の採用活動を中心に「働くこと」に携わってきました。世界一高齢化の進む日本において、介護業界を取り巻く労働力不足、特に若手労働力不足の問題は、かなり深刻な状況で、2025年には約40万人の介護職員が不足するといわれています。

介護業界の抱える大きな問題に、介護の現場で輝いて働く人を増やしていくことで、解決に取り組みたいと思い、介護業界に進むことを決めました。

実際に飛び込んでみて感じたことは、「働き手を増やす」だけでは解決しない、様々な問題があるということでした。そして更に、近年ではコロナの猛威が襲いかかりました。入国制限により、入国できない介護実習生は、この2年間で5万人近くにのぼっています。

そんな苦境だからこそ、彼らが日本で安心して活躍できる環境を創り出すことが大事なんだ。とあらためて感じています。

ビジネスモデルを教えてください。

高齢者が先生になって、
実習生と家族のようなつながりをつくる。

高齢者と介護実習生の双方の問題を見直し、実習生の抱える問題に対して、高齢者が好きや得意な分野で「身内のような先生」としてサポートする。その交流を通じて、家族のようなあたたかい「つながり」をつくることで、高齢者と実習生、双方の問題を一気に解決できるのではないか、と考えました。

サービスは大きく3つあり、入国前・入国後・実習期間中(入社後)の3つのステップで、3つの交流の場を設けています。入国前~実習期間中(入社後)まで、実習生ひとりひとりに、担当のおじいちゃんおばあちゃんが、寄り添っていきます。

介護の現場に必要なのは、知識や経験、スキルだけではありません。だから私たちは、実習生の皆さんが、家族のようなつながりをもって、入国する前から日本の高齢者と心を合わせる「リアル」な体験をしてもらう場を、創り出していきたいと思っています。

介護は人と人の仕事です。相手を理解する。相手を好きになる。
その気持ちと心の余裕や豊かさが、一番の力になる
と思うんです。

料金形態は、実習生の受け入れ企業様からいただこうと考えています。トライアル企業様からは「入国前のあたたかいサポートと日本文化や心の理解によって、実習生の笑顔や学ぶ意欲の向上、内定辞退の削減に繋がった」と嬉しいお声をいただいています。

アカデミーを卒業されてから現在はどんな活動をされていますか?

宮城と愛媛と東京
3か所でトライアルをスタート!

仕事の関係もあり、一緒に取り組んでくれる同志の仲間と、まずはプロジェクトベースで無料トライアルをスタートしました。プロジェクトは地域ごとに生活文化や習慣が違うため、地域単位で進めており、現在は、宮城県(塩釜市/栗原市)、愛媛県、東京都葛飾区にて、3つのプロジェクトが進行しています。

宮城県では、先日「ほーむTownステイ」で塩釜市シルバー人材センターの皆さんと、塩釜神社へ行き、愛媛県では、愛媛県社会福祉協議会/愛媛県外国人介護人材支援センター主催の交流会で、ここらぼほーむTownのテーマである「国を超えて、家族のように。」のテーマで講演する機会をいただきました。

■宮城「ほーむTownステイ」参加実習生の声

東京都葛飾区では、ボーダレスジャパンのクラウドファンディング「For Good」で、たくさんの皆さんにご支援いただき、地元の新小岩ルミエール商店街のお店と連携し『ここらぼのだがしやさん』を、交流の場として運営していきます。

私たちが提供したい価値は、高齢者と外国人実習生のつながりを生み、生きがいをつくること。そして高齢者の孤独な時間をなくすことです。決して「日本語研修プログラムの紹介」ではありません。最初は「自分には教えられることなんてなにもない。」と言って尻込みされている高齢者の皆さんも、時間をかけてしっかり説明していくうちに「こんな自分にもできることがあるなら、お手伝いします。」と一歩前に進んでご参加いただける方が増えていきました。とてもありがたいです。

ボーダレスアカデミーに参加したきっかけを教えてください。

実は、起業を考えたことは
なかったんです。

入学当時は「社会課題って何?」という状態だったので具体的なことは全く決めていませんでした。元々自分で事業を立ち上げたい、会社の社長になりたい、という思考はなく、起業を考えたことは今までありませんでした。

アカデミーに興味を抱いた最初のきっかけは、インターネットで見つけた、大熊さん(※1)のばあちゃん食堂のピッチ動画でした。自分の想いにも重なる部分を感じ、心臓がバクバクするのを感じるほど心を動かされ、そのまま「アカデミーの集中講座」への参加を申し込んだことを今でも覚えています。

参加してみると、社会のために、困っている誰かのために、地球の未来のために…と、それぞれの想いに真っ直ぐに行動しようとする人たちが沢山参加していらしゃって。それに輪をかけて熱いパッションとロジックを持って、向き合ってくださる鈴木さんの姿に、事業化する・しないではなく、私もアカデミーで自分の想いに挑戦したい、と思ったんです。

(※1)ボーダレスアカデミー2期卒業生 大熊充
▼第2回Japanソーシャルビジネスサミットでのピッチはこちら
https://academy.borderless-japan.com/news/2nd_final_07/

実際にボーダレスアカデミーに参加してみて、どうでしたか。

「聞き手」から「選手」になれる
一風変わった、ビジネススクール

MBAや経営を学べるスクールは他にも色々ありますが、アカデミーは、それらとは全く違うと思います。
「アカデミー」というよりも、まるで「中学の部活」のように純粋でアクティブな時間で、毎日、頭が筋肉痛になっている感覚でした。でもそれも、なにかとても心地よくて。今、思えばきっと、ここに集まってきた仲間の「本気度」と「熱量の高さ」があったからだったんだなぁと感じています。

実際にアカデミーが始まると、アカデミー生が何名かのグループに分かれて、プランづくりに取り組んでいきます。週に何回も夜な夜なグループで集まって、喧々諤々、みんなでプランをブラッシュアップしていきます。この頃、「このソーシャルコンセプトは、本当にやりたいことなのか」といわれるシーンの夢を何度も見ました。

そして各グループごとに3名のアドバイザーの先生方がついてくれて、どんどん練り上げていくプランに、隔週でアドバイスをいただくことができます。

さらに、田口さんとの1on1や鈴木さんの講義、全体課題に対しては半澤さんに伴走をいただけたりと、第一線で走り続けてこられている本物の方々の胸をお借りできる、本当に贅沢な環境がありました。

最初は、授業を受けに学校に入学するような気持ちでしたが、いつのまにか選手になって、夢中で取り組んでいる自分がいたんです。

今後のビジョンを教えてください。

まず、目指すは1,000人の
おじいちゃん、おばあちゃんへ

ソーシャルインパクトの数は「参加してもらう高齢者のみなさんの数」にしたいと思っています。

介護職員が少なくとも40万人足りなくなるといわれている2025年まで、あと2年ほどですが、それまでに1,000人の高齢者の方々に参加をしてもらえるプロジェクトにしたいなと思っています。

参加してくださる高齢者の皆さんと同じ数だけ、日本の高齢者を理解し、心を合わせて活躍する介護実習生が誕生しているはずです。彼らの活躍を見た高齢者の方が元気になれば、介護が必要となる人の増加がおさえられる。
そうすれば、たとえ誰かの手助けが必要になっても、希望に満ちた人生を楽しめる!大切な人の幸せな姿に、家族も幸せになる!そうすると、関わるすべての人が、幸せになる!

そんなHAPPY LOOPを創り出したいと思っています。
そして「すべての人がいくつになっても、心豊かな人生を送れる社会」づくりに取り組んでいきます。

遠藤さんにとって「アカデミー」とは、どんなものでしたか?

アカデミーの皆さんとのつながりが
私に生きがいをくれました

私自身がそうでしたが、これまでの仕事を辞めたり、起業をするのは、本当に勇気や覚悟がいることです。だから必ずしも起業をしなくてもいい。正しい正しくないは無いなと思っています。

自分が気になったり、大事にしたい想いだったり、やってみたいこととか、勉強したいと思うことがあるだけで十分。飛び込んでみると、想像もできない出逢いや景色、自分自身がみつかるはずです。

私にとって、ボーダレスアカデミーで出逢った同期の仲間、アドバイザリーボードの皆さんの存在は、かけがえのない宝物になりました。

くじけそうになった時、隣で懸命に走っている仲間の存在に何度も救われました。

そして、まだまだボンヤリした稚拙な私の想いを、私自身よりも、もっと大事にしてくれたアドバイザリーボードの皆さんの存在。実際、私の想いは、アカデミーでの時間を通して、カタチになっていき、2021年のJapanソーシャルビジネスサミットでプランを発表し、優秀賞をいただくまでになりました。そして、卒業した今でも、アドバイスをくれ応援してくださる関係性をいただいていることは、もう本当に大切な大切な財産です。

いつでも勇気をくれる
『CHALLENGE』のお守り

先日、クラウドファンディング「For Good」に挑戦した際、アカデミーでずっと伴走してくださったアドバイザーの辻井隆行さん(※2)が、勇気が出る!温かい応援メッセージをくださいました。これからどんな困難にぶつかろうとも、実現するまで挑戦をあきらめないために、今、自分のPCに貼っています。私の『CHALLENGE』のお守り。宝物です!

(※2)アドバイザリーボード
社会活動家/ソーシャルビジネスコンサルタント 辻井隆行
▶︎https://academy.borderless-japan.com/review/tsujiitakayuki/

今回、私は「つながりで生きがいをつくる」をテーマにしたビジネスプランに取り組んできましたが、このボーダレスアカデミーとのつながりが、私自身に生きがいをくれました。ボーダレスアカデミーに挑むことを決めた、当時の自分を褒めたいほど、アカデミーに関わる皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。今はまだトライアル段階ですが、これをしっかりカタチにすることでご恩返しをしたい。そう思っています。

世界中が笑顔でいっぱいになりますように!
いくつになっても心豊かな人生を送れる社会になりますように!
そして、皆さんと出会えますように!


遠藤さん、ありがとうございました!

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