働く意義を見つめ直して選んだ「社会起業」という選択~環境問題解決にゼロから挑んだ3ヶ月~ | ボーダレスアカデミー | 社会起業のためのソーシャルビジネススクール
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働く意義を見つめ直して選んだ「社会起業」という選択~環境問題解決にゼロから挑んだ3ヶ月~

ボーダレスアカデミーの社会起業伴走プログラムの魅力を深ぼるため、アカデミー15期の卒業生にインタビューをさせていただきました。参加者のリアルな声をお届けし、その熱い想いや経験に迫ります。お楽しみに!

今回は、「放置竹林」問題の解決を目指す「ポリグチ」さんこと堀口剛央さんにお話をお伺いしました。

社会起業伴走プログラムとは・・・ボーダレスがこれまで培ってきた独自メソッドをもとに、3ヶ月でビジネスプランを完成させるプログラムです。

プロフィール

・氏名:堀口剛央(ほりぐち よしてる)/ポリグチ
・経歴:元アートギャラリー勤務 
・社会課題/テーマ:環境 / 放置竹林

ゼロから環境問題に挑戦する

Q 解決を目指す社会課題と、その出会いを教えてください

私はこれまでの仕事の中では、あまり積極的に社会課題に介在してきた訳ではありませんでした。その中でも、気温が年々上昇していることから、快適な暮らしの代償としての環境負荷には漠然とした危機感を抱いていました。「環境負荷をかけ続けているばかりで、何もアクションを起こせていないな。」という気持ちが常に心の中にありました。

そんな折、コロナの影響で、働き方や組織が大きく変わり、仕事や生き方を大きく見直すタイミングがありました。
この時、働く意義を再考し、元々関心を抱いていた環境問題に対して「何か自分にできるアクションはないか。」と強く感じるようになりました。

幼少期に比べたら気温の上昇を肌で感じていましたし、環境問題は、人ごとではなく自分の生活と密接した問題だと感じています。「ただ単に快適な生活をしているだけではだめだ。」と、環境負荷を減らすために自分ができるアクションにゼロから挑戦してみようと思いました。

アートギャラリーで働いていた私は、環境やエネルギー関連の知識・経験もなければ、知り合いも全くいません。まず初めに私の生活する地域環境に目を向けてみようと思い調べていく中で、「放置竹林」という問題があることを知りました。「放置竹林」とは、高齢化などにより間伐などの管理がされなくなり、放置されてしまった竹林のことを言います。
「まずは自分のできることから」ということで、私の住む千葉県で毎月竹林の再生活動を行っているNPOのボランティア活動に参加するところから始めることにしました。

▽竹林整備の様子

日本における放置竹林は、九州地方に多く分布しており、北に上がるにつれて減少します。
ボランティア活動の内容は、地域の竹保有者からNPOに依頼があり、竹林に出向き10人前後で伐採活動を行うというものでした。竹の成長スピードはとても早いので、伐採作業は一筋縄ではいきません。かなりの力仕事が求められました。

実は、竹は土壌への栄養価が高く、使用用途も様々です。伐採した竹は粉砕機で粉々にして畑に撒いたりさらに細かくするとバイオマスの材料として活用できるなど、竹が持つ可能性は沢山あることを知ることができました。
しかし、力仕事の割には単価が安く、コストのバランスをとるのが難しいという課題も存在します。

このように、ボランティアに参加したことで可能性があるのにそれが活かかされていない現状や、可能性の裏には課題が潜んでいることを知りました。
だからこそ、私は放置竹林に関心を持つようになり、この切り口から環境問題にアプローチしていくことを決めました。

▽粉砕機にて「竹粉」を作っている風景

挑戦するなら今しかない!アカデミーに全集中する決断

Q アカデミーを受講しようと思った理由を教えてください

先ほどお話ししたように、コロナの時に働き方を考えるきっかけができたことで、「今後は起業して自分の事業として社会課題に関わりたい。」という気持ちが芽生えてきました。

放置竹林に取り組むことは決めたものの、環境問題に関しては未経験からの挑戦だったので、知見を得る機会が欲しいと思いインターネットで検索していたところ、アカデミーの存在を知りました。

「起業」と「社会課題の解決」というキーワードが自分がやっていきたいことにピッタリ合致していたため、「なにはともあれ参加してみよう!」と、アカデミーに飛び込むことを決意しました。

「誰のための何」と向き合い続けた3ヶ月

Q 社会起業伴走プログラムでの学びや変化はありますか?

私は完全に未知の状態でアカデミーに飛び込んだので、苦労の連続の3ヶ月間でした。

そんな中でも一番の学びは、ソーシャルコンセプト(注1)の必要性と重要性です。
参加する前は、いかにいいビジネスモデルを作成できるか、というビジネスコンセプトの重要性の方が高いのかなと思っていました。ですが、「誰のために何をするのか」を追求するソーシャルコンセプトが一番大事かということを実感しました。この気づきは、実際にプログラムに参加してみなければ得られなかったことだと思っています。

私は漠然と広く環境問題を解決したいという入り方だったので、「誰のための何」になかなかピントを合わせることができず苦労しました。
中間合宿(注2)のときも固まっておらず、放置竹林から離れて、「誰のために」という問いからもどんどん離れてしまったことがありました。それでもブラッシュアップ会でのメンターさんからのフィードバックを通して、最終的には納得のいくソーシャルコンセプトを設計することができました。ギリギリまで課題に向き合っていたので、この期間は社会課題と向き合うための脳のトレーニング期間だったなと今振り返ると思います。

※(注1)ソーシャルコンセプトとは・・・誰のどんな社会問題を、どのように解決するか?どんな理想の社会を実現していくか?などボーダレスがこれまで100以上の社会起業を作ってきた独自メソッドが詰め込まれたコンセプトシート
※(注2)中間合宿とは・・プログラムの折り返し地点で、アカデミーの同期生が対面で集まり、前期まで進めてきたプランニングのブラッシュアップするとともに、後期に向けた講義を実施する1dayプログラムです

未経験だからこそできた可能性探し

Q プランニングの中で、苦労したことはどんなことですか?

私の場合はプロダクト開発を置いていたので、魅力的な商品を設計することに苦労しました。
商品案を作って人に説明しても、なかなか響かなかったり、インパクトがあまり出せなかったり、自分がやりたいことなのかと問われた時に、うまく回答できなかったり、、
正解が分からず迷走していました。

竹を使った商品の可能性が多岐に渡っているからこそ、その中でどの選択肢にするか、非常に悩みましたね。自分が考えられるバリエーションは一通り検討してブラッシュアップ会でメンターさんにぶつける日々でした。元々ある製品をトレースするか、全く新しいものを研究するか、自分の専門であるアートに紐付けて考えるか、様々な視点で商品を考えていきました。知識がなかった分大変でしたが、未経験だからこそバイアスに左右されずにいろんな可能性を検討できた点は良かったと思っています。最終的には、日常で身近に消費するプロダクトである条件から探し、あえて自分にとっては挑戦である竹を使った化粧品の開発に焦点を当ててやっていきたいと思っています。

この化粧品は、アトピーの悩みを持つ主婦層はじめ幅広い年代に届けたいと考えています。アトピーを持つ子供でも使える低刺激な化粧水なので、親子で一緒に安心して使ってもらえるような化粧水を作りたいと考えています。

ニュースの世界が身近な世界に

Q アカデミーの魅力だと思う点はなんですか?

同期に色々なバックグラウンドの方々がいらっしゃたのはとても刺激的でした。
普段は画面越しにお会いする15期の皆さんと中間合宿で対面でお会いできた時は思いの外感動的でしたね。社会課題としての世界の貧困や格差の問題は認知はしていましたが、ニュースで見る世界だったので、そこに果敢に挑戦する同期の姿はカッコ良く、また身近に感じることができました。

▽15期中間合宿の様子

空き時間は全力でアカデミーに集中

Q 仕事とアカデミーをどのように両立されていましたか?

アカデミーに参加する時点で、前職は辞めており、パートタイムのような形で働いておりました。私の場合は、ゼロからのスタートでインプットしないといけないことが多く、空いてる時間は全てアカデミーの時間に充てました。

また、リサーチするだけではなくてブラッシュアップ会等で人に説明するための準備も集中して行いました。限られた時間の中で自分のプランを発表し、今悩んでいるポイントを的確に伝えることは私にとっては初めての経験だったからです。自分のプランを的確に伝えられるかどうかで、返ってくるフィードバックが全く違うんですよね。「いかに整理して端的に伝えるか」を心掛けて準備を行いました。

そういう意味では、3ヶ月みっちり集中できるのは絶妙な期間だなと思いました。

社会起業への道のり

Q 今後の展望を教えてください!

現在は、商品開発をする上でインプットしないといけない事柄がまだ沢山あるので、化粧品の成分等の勉強等を含め、準備を引き続き行っています。

そして、ここから半年か1年の間にはモニターテストまで持っていき、登記する予定です。ゼロからのスタートではありましたが、アカデミーの3ヶ月を通して道が見えてきたので、良い商品を開発できるよう努めていきます。放置竹林の所有者の方も、プロダクト(化粧水)を利用する方、そのどちらにも必要とされるようなプロダクト開発を目指します!

インタビュー後記

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回は、放置竹林に着目し環境問題の解決を目指す堀口さんにお話しをお伺いしましたが、いかがでしたか?

身近にできるボランティアから挑戦し、少しずつ社会起業への道を切り開いてきた堀口さん。完全に未知の状態から社会課題の解決へ飛び込んでいくことの勇気をいただけたのではないでしょうか?竹から作るお肌に優しい化粧水の完成が楽しみです!

インタビュアー:ボーダレスアカデミー学生インターン・カコちゃん(鹿子生由依)

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