「牛の幸せ」が「人の幸せ」になる社会へ-宝牧舎の挑戦- | ボーダレスアカデミー | 社会起業のためのソーシャルビジネススクール
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アカデミー生インタビュー

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「牛の幸せ」が「人の幸せ」になる社会へ-宝牧舎の挑戦-

どんな社会課題に取り組んでいますか?

① “子どもが産めなくなった黒毛和牛の母牛”と② “ミルクを出さないオスのジャージー牛”のアニマルフェアネス(家畜福祉)の問題に取り組んでいます。

経済動物として扱われる黒毛和牛の母牛は、例えそれまで多くの子牛を産んでくれたとしても、妊娠しにくくなったと判断されると「廃用母牛」と呼ばれ、安いミンチ肉になるか、再肥育されても通常の黒毛和牛のお肉より低い価格で販売されてしまうんです。

またオスのジャージー牛は、体格が小さく成長も遅いため、肥育してもお金にならず、せっかく生まれた命が産声を上げてすぐになくなってしまいます。

私は、人や経済にとって役立つかどうかで牛の価値を決めるのではなく、尊い命を宿した生きものとして接する社会、牛の幸せが人の幸せになる社会を目指していきたいと考えて事業を行なっています。

※創業時は廃用母牛の問題だけを取り組んでいましたが、オスのジャージー牛の問題を知って現在は2つの問題に挑戦しています。

どんなビジネスモデルですか?

妊娠しづらくなった等の理由で農家が手放した母牛を購入、誰も使わなくなった荒廃土地を開拓して自然放牧を行なっています。
私たちはこれを「廃用母牛のリハビリ放牧」と呼んでいて、牛たちがなるべくストレスの少ない環境で“自然”に生きられるようにすることで、宝牧舎では廃用母牛の90%以上が自然交配により子牛を産めるようになります。そして母牛が産んだ子牛を10ヶ月ほど育てて市場で販売をしています。

その他、畜産農家体験ができるプログラムを行なったり、牧場でお肉の直接販売も行なっています。

ボーダレスアカデミー参加前はどんな状態でしたか?

2018年当時、私は牛飼いを始めて10年になっており福岡の宗像大島で観光牧場をやっていました。そこで仔牛が産めなくなって6年目になる母牛「こゆき」を抱えていました。

廃用母牛は処分されるか、家畜市場では数万円というとても安い価格で取引されてしまいます。
今までたくさんの仔牛を産んでくれた母牛が、どうしてこんな安い価格で取引されるのか?もっと評価されてもいいはずだ。と思っていました。

しかし当時私は、この想いをどうビジネスに落とし込んでいけばいいのか?具体的にどう実現していこうか?までは考えられておらず、想いがあってもビジネスにできていないのが現状でした。

ボーダレスアカデミーを選んだ理由を教えてください。

畜産業界の現実に向き合う中で個人事業主としての限界を感じていましたが、資金面と実力面から一人で会社を立てて事業をするのはハードルが高く、サポートをしてくれる人を探していました。そんなときに知り合いからボーダレスアカデミーを教えてもらいました。

当時ボーダレス・ジャパンでは「社会起業家志願者へ創業資金最大3,000万円出資!」を掲げ、社会起業家を募集していましたよね。
3,000万円!という大金に衝撃を受けたのを覚えています。(※1)

同時にボーダレスアカデミーで第1期生の募集をしていたので、そこでしっかり事業計画書を作り上げて、必ずボーダレス・ジャパンで事業を立ち上げたい!と心に決めてボーダレスアカデミーにエントリーすることを決めました。(※2)

※1
2024年3月現在、ボーダレス・カンパニオで起業する場合、創業資金として500万円の拠出します。

※2
ボーダレスアカデミー卒業後に、ボーダレス・カンパニオでの起業を希望する場合は一定の面接があります。

ボーダレスアカデミー1期生にはどんな方が参加していましたか?

当時福岡校には約20名ほどが通っていたと記憶していますが、10代から50代の方まで幅広い世代の方が参加していました。大学生や会社員、個人事業主や会社経営者など立場も色々で、環境問題・教育格差、アフリカの貧困問題・障がい者雇用・農業後継者不足・ヤングケアラーの問題まで社会課題も多岐にわたっていました。

「アニマルフェアネスは難しい」と思っていましたが、同期のテーマを聞いているとみんなはもっと難しい問題に挑戦しようとしていて「こんな課題を必ずビジネスで解決する!」「あの問題を生涯かけてやり続けたい!」と夢を語り頑張っている姿に、私ももっとやれるはずだ!と刺激を受けました。

ボーダレスアカデミーを受講してどうでしたか?

沢山の学びと気づきがありましたが良かったのは、“切磋琢磨できる、志の高い同期に出会えたこと”、“講師や事務局の皆さんが時間を惜しまずサポートしてくれたこと“です。

まぁそのおかげで、一度も時間通りに授業が終わったことはなかったんですけど(笑)
「こういうアイデアはどうか。私なら購入しない。もっとこういうモデルにした方がいいんじゃないか。」みんな同期のために知恵を絞り合い、それに応えるように田口さんもアドバイスをくれるので時間がいくらあっても足りなかったですね。
授業終わりも終電ギリギリまでみんなで話し相談していたので、体力的には大変でしたが、時間を忘れてやるこの雰囲気は今思い返すとものすごく良い思い出です。

※当時は東京校と福岡校の2拠点でオフライン開催。現在は全オンライン開催へ。

起業のタイミング・道のりを教えてください。

ボーダレスアカデミー受講を通して、ボーダレス・ジャパンのカルチャーや恩送りの仕組み、スピード感等に共感し、卒業後すぐボーダレス・ジャパンにエントリーをしました。

面接を経て社長会でボーダレスアカデミーで作成した事業計画書をもとにビジネスプラン発表、承認されボーダレス・ジャパンでの起業が決まりました。

そこから自然放牧で牛たちがストレスなく暮らせる広い土地を探し回り、大分県別府市で土地を購入し牧場をスタートすることになりました。
牧場作りをしながら、定期的にボーダレス・ジャパンの福岡オフィスに通いボーダレスアカデミーで作った事業計画書のブラッシュアップを続け、宝牧舎株式会社を設立しました。

今後のビジョンを教えてください。

今まではBtoBをメインで進めていましたが、これからはBtoCまで対象を広げ、一般消費者に直接私たちの思いとお肉を届けるために日々奮闘しています。

多くの一般消費者にこの廃用母牛の問題や生まれたばかりのオスのジャージー牛の問題など畜産の現状を知ってもらい、牧場で学び、お肉を購入して、召し上がってもらう。
「牛の幸せ」を考えるきっかけ作りをしていきたいです。

宝牧舎の取り組みをRICE MEDIAさんが分かりやすくまとめてくれた取材動画はなんと120万再生(1分)
>>動画を見る

ボーダレスアカデミー参加を検討している人へのメッセージをお願いします。

私はずっと牛飼いとして、牛の幸せを考え続けてきましたが、ビジネスプランを描いたりマーケティングを勉強したことはほとんどなく、ビジネススキルはなかったも同然でした。

ボーダレスアカデミーは、そんな私でも受け入れ、どんな思いを持って社会課題を解決したいのか、やる気と想いを買ってサポートをし続けてくれました。

そのおかげで私は今「自然の中で家畜と人間が共生する牧場」を作り、牛の幸せを一番に考える牛飼いになれています。
ボーダレスアカデミーに参加して、ずっと課題に思っていたアニマルフェアネス問題をビジネスで解決することができています。

過去の私がそうだったように、起業に自信がない方はぜひボーダレスアカデミーに参加してみてほしいです。解決したい問題がありずっとモヤモヤしている人は、ボーダレスアカデミーでその想いをカタチにできるはずです。

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