第2期ボーダレスアカデミー ファイナルピッチ-出場者NO.4 宮浦歩美 | ボーダレスアカデミー | 社会起業のためのソーシャルビジネススクール
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第2期ボーダレスアカデミー ファイナルピッチ-出場者NO.4 宮浦歩美

アカデミーファイナルピッチ 全文掲載

1:25〜
宮浦

みなさん、こんにちは。宮浦歩美です。
私はエクアドルの女性受刑者の社会復帰を実現する、花火事業を始めます。

1:39〜

みなさんは何かをやろうとした時に「どうせ無理だ」と諦めたことはありますか?
その諦めるものが人生そのものだったらどうしますか?
私は学生の時にNGOのボランティアで南米エクアドルに行きました。
その時働いたのが、首都キトにある女性刑務所です。

2:00〜

そこで知った現実は、刑務所で育った子どもたちは、
大人になった時に彼ら自身が罪を犯し、また刑務所に戻ってくるということ。
そして受刑者である母親も、出所してからも社会の無理解により仕事に就けず、
しかし子どもを養うためにまた犯罪に戻ってしまうということでした。

罪を犯した理由は、その75.8%が、貧困や女性という弱い立場を利用されての犯罪と言えます。
例えば、妊娠中の女性は空港でX線検査をパスされることから、体内に麻薬を入れて運ばせるということがあるのです。

3:07〜

私が刑務所で出会ったマリアもその一人でした。

彼女は、母親の育児放棄、暴力によって13歳で家出、麻薬運びに手を染めます。
その後、2回服役。その間、違う男性との間に2人の子どもがいます。

マリアの言葉が忘れられません。

「子どもを病院に連れていくために、そうするしかなかった。」
「でも本当は、ここを出たら人生をやり直したい。」
「だけど、どうせ無理。」

私は、かける言葉が見つからず、ただ何もできませんでした。

3:18〜

マリアのようにずっと社会に入れず、犯罪を繰り返してしまう。
これは、常に悪循環の中から抜け出せなくて、社会から無視され続けているからです。
マリアをこの状況から抜け出させるには、子どもを養えるだけの安定した収入があり、且つそれは、彼女が、社会の一員なんだと誇りを持って働く仕事であることです。

3:45〜

この二つを満たすものとして、私が考えた事業が花火です。
日本の製造技術と安全管理基準に基づいて花火を製造、販売することで、元受刑者を製造職人として雇用します。

私はマリアや、子どもたちに上を向いてほしくて、ボランティアから帰国し、花火会社に入社しました。
演出や打ち上げに従事してきました。

エクアドルで製造するにあたり、製造花火師のネットワークがあります。
私がベースを学ぶことはもちろんですが、彼らを仲間に迎えて進めていきます。

4:28〜

なぜ花火なのか?
その理由は3つあります。

まずエクアドルには花火を製造している会社がありません。
お祭りやライブなどで花火は増えていますが、すべて中国・スペインから輸入しています。
例えば中国から輸入すると、輸送費が60万円かかります。
これをエクアドルで製造することで、この60万円を品質向上の費用にあてます。
品質によって花火はどれくらい変わると思いますか?
一目瞭然です。
左が日本玉、右が中国玉です。
技術とかける手間暇がまったく違うため、発色、形において、ここまで差がでます。
高い技術と手間暇をかけて作られた花火は、見る人を感動させ、価値となります。

5:20〜

2つ目の理由は、5Sの徹底です。
火薬を扱う仕事柄、整理整頓、清掃、清潔、そしてコミュニケーションが大切です。

丁寧な仕事をすることで、働きながら心を整えていく。
仲間とコミュニケーションを取る中で、互いに助け合う。
彼女たちの更生にとても良い仕事だと思います。

5:47〜

そして3つ目に、花火の価値です。
花火は、人を喜ばせるものです。人に上を向かせる仕事です。
そういったものを作るということが、彼女たち自身の誇りになります。

去年、私が刑務所の子どもたちに届けたくて、日本で打ち上げた花火です。
最近は冬の花火も多いので、実際に花火を見ていただけると嬉しいです。

6:30〜

エクアドルでの花火の推定市場規模は100億円です。
この市場に対して、製造から、演出、打上までステップを踏んで、一連の作業を自社でできるようにしていきます。

まずはパイロと呼ばれる小型花火の製造から始めます。
玉に比べて危険度が低く、技術を習得しやすいです。
狭い会場でも使用でき、より多く使われます。

色や効果のバリエーションを揃え、パイロ一発あたり単価1000円で販売します。
スペイン産パイロと同価格ですが、日本の技術で、発色に差を出します。

7:10〜

1年目は、パイロ2万発の販売を目指します。
演出にもよりますが、10分間の花火ショー10回分です。

この花火事業で、2024年までに私が関わった刑務所の50人の元女性受刑者の雇用、
その子どもたち100人に安定し教育を受けることのできる生活を絶対に実現させます。

その後、国内の他の刑務所にいる約3,000人すべての女性受刑者へ、
その子どもたちへと広げます。
マリアが抜け出せなかった悪循環をまずはエクアドルから断ち切ります。

そして南米中の同じ境遇にある何万もの女性受刑者へ広げます。
ただ花火事業だけではどうしてもスピードが遅くなります。

8:00〜

そこでもうひとつの仕掛けが、同じように理解ある企業の仲間を、増やすことです。
花火事業で、働く喜びや誇り、5Sを習得することで、元受刑者だってできるんだと社会に認めさせる。
その上で、例えば、生活が安定し、彼女たちに自分の夢が出てきた時に、次のステップへの就職支援もできるように、花火以外の様々な企業と連携をとっていきます。
連携し共に進んでいく。共に新しい社会を創っていくことが、この問題を根本から解決する鍵です。

8:40〜

一度きりの人生です。
あきらめている場合じゃないし、社会もあきらめさせている場合じゃないです。

もうマリアにも、誰にもどうせ無理なんて言わせない。
そんな社会を彼女たちと実現させます。
みなさん、応援どうぞよろしくお願いいたします。

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