アカデミー生インタビュー
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分配可能利益の80%をアフリカに還元するビジネスモデルに込めた想いとは?アパレルブランドで社会を動かす「SHIFT80」の挑戦。
生理用品が買えないがために
学校に行けない子供たち。
まずはSHIFT 80が取り組む社会課題を教えてください。
ケニアのスラムに暮らす子供たちの貧困問題です。
ケニアの首都ナイロビに、「キベラスラム」と呼ばれるアフリカ最大規模のスラム街があります。貧困で生理用品が買えず、生理期間中は学校を休まなくては行けない子や、生理用品を買うために自ら働きに出なければならない子、そして生理用品の代わりに新聞紙や端切れを使ったせいで経血漏れなどを起こし、それをきっかけにいじめにあって学校にいけなくなった子などに出会いました。そして彼女たちを、生理用品の配布や月経教育でサポートすることを2018年からつづけてきました。
しかし、生理用品だけあれば解決するわけではありません。ほかにも学校に来られない原因として、保護者が授業料を払えない場合や、孤児になって保護者がいない場合、虐待を受けている場合もあります。
そのような子たちは、教育を受ける機会を失ったがために、低賃金の仕事を得ることにも苦労します。教育の機会がないと、貧困のループから抜け出すのは困難です。
しかし、彼ら・彼女らのサポートをつづけるには、熱意だけではなく、お金も必要です。継続して関わりつづけるために、この事業「SHIFT 80」を立ち上げました。
坂田さんが、この社会課題に出会ったきっかけはなんだったんでしょうか?
2013年に世界一周旅行中にキベラスラムを訪れたことが始まりです。
「生理の貧困で、学校にいけない子がいる」という問題を知り、彼女たちに寄り添いたい、支えたいと思いました。そこで、帰国後に月経教育と生理用品の支援プロジェクトを開始しました。
スラムにある医療機関・学校に協力いただいて、これまで約8,000名の女性へのサポートを実施。 その結果、女子生徒の欠席日数も減り、成績も上がる。自己肯定感もアップするなど、大きな成果がありました。
プロジェクト開始時はスポンサーに協力をしていただいていましたが、スポンサーも永久に支援しつづけられるわけではありません。実際に、最初の2年で支援は打ち切りになってしまいました。
しかし、そこで辞めてしまうのは無責任なんじゃないか?これからもつづけたい、という思いがありました。
ですので、3年目からは自費でつづけています。ただ、ずっとお金を送りつづけるよりも、大好きで尊敬している現地の仲間たちと一緒にビジネスをして、そのお金をシェアするほうがいいんじゃないかと思ったんです。そんな風に、よりよい方法・持続可能な方法を求めて「SHIFT 80」に辿り着きました。
どんなビジネスモデルですか。
キベラスラムで活躍する現地のデザイナーを迎え、利益(分配可能額)の80%をアフリカに還元するアパレルブランドを立ち上げました。
“分配可能額”というのは一般的な株式会社では、株主配当金として使われているお金です。つまりその利益を配分しても、会社が傾いたり潰れたりはしない「分けられる利益」のこと。それをアフリカの必要とする人たちと、 最低80パーセント以上をシェアすることで、世界を少しずつシフトさせていきたい。そんな願いをこめて「SHIFT 80」という名をつけました。
いろんな選択肢がある中で、なぜアパレルブランドをしようと思ったんですか?
ケニアのナイロビにある巨大スラム街キベラで出会った、ひとりの女性。リリアンがきっかけです。
彼女は、18歳で両親を亡くしました。長女であった彼女には18人の弟妹が残されました。幼い子たちを育てるために必死に働く中で、貧しい子たちにこそ「教育が光」になると気づいた彼女は、スラムの長屋で小さな寺子屋をはじめました。それが、いまでは大きな学校「マゴソスクール」へと成長し、全校生徒は500名以上もいます。
学校を立ち上げ、運営しているかたわら、彼女はものすごい熱意でファッションデザインとテーラリングを独学で学び、いまではケニアでファッションショーをするほどの腕前になりました。
彼女は自分の学校でも、生徒たちに新作を着せてファッションショーを開催しています。そのショーが、とてもすばらしくて感激! これが見たくてなんども通いました。
次第に「リリアンの服は日本でもよろこばれるんじゃないか?」との思いが強くなり。
彼女がこれまで孤児と貧困児童のためにしてきた「教育」と「ファッション」。この2つをかけあわせて、彼らと一緒に課題解決に取り組みたいと思ったんです。
継続的にサポートができれば、子どもたちが安心して学校に通うことができる。私は生まれた環境に関係なく、みんなが可能性を追求できる世界、将来に希望を持てる社会の実現をしたいんです。
現在はアフリカ産の原料やアフリカ伝統の生地を仕入れ、日本の紡績・生地工場、縫製工場に協力いただいて生産をしています。主にオンラインストアで販売中です。
このビジネスモデルを
もっとよくできるはず!
と、どこかで思っていた。
先ほどの時点ですでにプランが出来上がっているような印象ですが、なぜアカデミーに入学をしたんですか?
前職の先輩に「次はこんなことをしようと思っていて……」と話をしたときにボーダレスアカデミーを紹介されたのがきっかけです。
2015年から自身の会社を経営していますが、その立ち上げ前は「博報堂ケトル」というクリエイティブエージェンシーに所属していました。 「広告仕事だけではなく、新しくソーシャルビジネスにチャレンジしたい」と先輩に話したところ、ボーダレスジャパンの田口さんの存在を教えてくれました。
さっそくウェブサイトを見たら、タイミングのいいことにボーダレスアカデミーが近日開講されると書いてあり、なにか学べることがあるかもしれないと申し込みをしました。
すでにビジネスモデルは考えていましたが、これまでとは違う業界へのチャレンジだったので、知見が足りていない自覚がありました。アカデミーという名前だし、ビジネスモデルがブラッシュアップできるかもしれないな〜くらいの軽い気持ちで参加しました。
アカデミーに通っていて得られたことはありますか?
ボーダレスアカデミーにはソーシャルビジネスを立ち上げるためのメソッドが詰まった独自のワークシートがあるんです。
「どういう順番で考えていくとよいか」がわからない人や、社会起業のビジネスモデル構築に悩みがちな人にとっては、物事を体系立てて考えることができるので有用だと思います。
最初に元々頭の中で考えてたものも、そのシートに当てはめて考え可視化することができましたし、いつでも振り返ることができるので、一度このワークシートを書いてみるのがおすすめです。
アカデミーで印象に残っているアドバイザリーはいますか?
HASUNAの白木夏子さんです。ブラッシュアップ会で相談させてもらったとき「事業のここを直した方がいいよ!」みたいなことは一切おっしゃらなかったんですけど、とにかく背中を押してくれました。「すごいいいと思うし、私はあなたのこと好きだから応援してる!」と、メンタリング中ずっと言ってくれました。これってなによりも自信になるし、「私が進もうとしている道は間違ってないんだ」と思えました。
新しい領域でビジネスをはじめるにあたって、不安がゼロではなかったので、こういうプロの方々から直々にエールをもらえるというのは、創業期になによりも大きな力になります。
その後も、なっちゃん(白木さん)はご自身のVoicyで私のこと紹介してくれたり、今でも連絡したり交流させてもらったりしています。これまでなかなか接点がなかった方々と知り合い、仲間になれるのはありがたいことです。
「SHIFT 80」の今後が楽しみです!坂田さんのこの先のビジョンを教えてください。
「SHIFT 80」の概念は、「たくさん持っている人が、足りてない人・持ってない人に分ける」ということなんです。 私はそれが当たり前の社会を作りたい。
いま「SHIFT 80」では”お金”の支援をしているように見えますが、それだけではありません。たくさん持っている”知識”だったり、”才能”だったり、”優しさ”だったり、”気持ち”だったりも分け合っています。 持ってる人が持ってない・足りていない人に、当たり前のように分けあえる社会を実現する。これからも「SHIFT 80」を通じてそんな社会実験をしていきたいです。
最後にボーダレスアカデミー参加を検討している人へのメッセージをお願いします。
やりたいと思って、ある程度アイデアが固まっている人。「もうアカデミー入らなくてもビジネスモデルできてるしな」って人。そこまできているのに、先延ばししてしまう癖のある人は入った方がいいと思います(笑)私がそのタイプなので。
「自分で自分の管理すること」は、人によってはすごく難しいですから。
当たり前ですが、アカデミーでは課題や提出物などの期限が決められていて、ちゃんとその日までに仕上げたら、フィードバックがもらえる。だから自然と前に進めるんです。締め切りがないと永遠にできないタイプのみなさまにおすすめです!
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