アカデミー生インタビュー
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きっかけは息子の病。大豆ミートで「わが子の未来」にできること
きっかけは息子の病気。こどもが生きる未来に対していま、自分ができること
環境課題に関心を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?
アカデミーを卒業したあとに見つかった息子の病気です。
1歳半だったんですが、ステージ4の小児がんが見つかって、1年弱ぐらいその闘病生活をしていました。難しい状態だったんですけど手術も成功して…。その瞬間に光が見えた気がしたんですよ。
先生に腫瘍が全部取れましたって言われた時に、血液検査上も、がんの数値が一般の人と全く変わらないっていう状態までなったのは、奇跡だなと思いました。
その時に、この子が生きるこの未来に対して、なにか自分ができることってあるんじゃないかと考えたとき、 環境問題が浮かび上がってきたんです。
我々もそうだし、その上の世代も上の世代も、今まで後回しにしてきた結果が、グレタさんみたいな人を産むわけで。それを自分の子供の代にもツケを回すことを、 やっちゃいけないなと思いました。
今までそういうことを考えてたわけじゃないんですけど、自分の身に子供の病気っていうきっかけがあって、急にスイッチ入っちゃったんですよね。
息子が生きられるんだと思った時に、生きることができるこの子の未来に対して、父親としてそうだし、起業家として、ここに自分の人生をかけることに、価値があると思いました。
あたらしいお肉!大豆ミートで、環境に優しい世界を
白坂さんのビジネスモデルを教えてください。
僕は、環境問題の解決を目的に、お肉とおなじくらい美味しい「大豆ミートSOYCLE(以下ソイクル)」というオリジナル商品を展開しています。現在オンライン販売や、飲食店への卸しを行っています。
お肉の代替となる大豆ミートの販売を通じて、畜産によって発生する温室効果ガスの削減と、環境資源の確保(水・穀物・土地)、そしてタンパク質危機(※1)の回避を目指しています。
(※1) 世界の人口は増加傾向にあり、お肉の需要も比例して増えるため、「お肉の供給が追いつかなくなる」という未来が予想されている。
なぜお肉が環境問題とつながるのでしょうか?
現在、畜産業など(主に牛)によって、多くの温室効果ガス(メタンガス)が排出されています。メタンガスは「二酸化炭素(CO2)の25倍も温室効果が高い」 と言われていて、牛のゲップなどによって発生するものなんです。
環境問題で自分ができることを考えてた時に、たまたまこの畜産という問題を知り、勉強していく中で大豆ミートに出会いました。
メタンガスの問題だけでなく、お肉を始めとした食料の生産には、多くの資源が必要です。
その関係性を簡単に言うと「世界の人口が増え続けている→お肉の需要も増えている→お肉の生産には多くの水や穀物が必要→畜産などを行うために、森林を伐採して農地を確保する→森林の担ってきたCO2の吸収が出来なくなる→温暖化がより進んでいく…」単にお水や穀物がなくなるだけでなく、森林が伐採されることで、地球上で排出された二酸化炭素を吸収する事が出来なくなっていて、温暖化を加速させてしまう悪循環に陥っています。
環境面からも、お肉に比べると大豆ミートはやさしい食品なので、普及させることによって、すこしでも将来の環境問題にむけて貢献できると感じました。
「これで、やっと起業ができる」
アカデミーとの出会いとその魅力
アカデミーに参加する前はどんな状態でしたか?
学生時代は、ずっとサッカーをやっていて、新卒は全国に展開しているスポーツクラブに就職しました。2社目の広告代理店で、たくさんの経営者の方に出会い、いろんな事業を見ていく中で、「お金儲け」とか「とりあえず売れればいい」というようなものではなくて、そのもの自体の存在意義など本質的なところが、大事だと考えるようになりました。
その中で自分がやりたいことは、決まっていなかったんですが、自分が今までやってきたことが生かせる。そして社会課題、なにか人のために役に立つことが、自分に最終的にできたらいいな、と漠然と思っていました。自分にできることをずっと模索してたような感じでしたね。
アカデミーを知ったきっかけを教えてください。
福岡に住んでいたということもあり、ボス(ボーダレスアカデミー創設者、ボーダレスジャパン代表取締役社長の田口)と共通の知人がいたようで、その方のFacebook投稿で知りました。
特にビジネススクールを探していたわけではなかったのですが、起業はしようと思っていた時期に偶然見つけて、「これを探してた!」というピッタリの環境と出会ったという感じですかね。
具体的にどこに惹かれて、入会を決められたのでしょうか?
「これでやっと起業できるな」って思えたところですかね。
起業って、1人だとやっぱり分からないことが多そうじゃないですか。
どうやって事業を作ったらいいのかも分からない中で、これさえあれば起業できるぞ、と思えました。座学で勉強しつつ、似たような人たちが集まるというので、横のつながりで色んな情報交換もできるだろうと思ったことも魅力でした。
受講料は、決して安くはなかったんですけど、結局頼るところが他にはなかったので。
あとは、自分の人生を考えた時に、どこかで自分が決めて動かないと、道が開けないなと思ったので、即決で決めていましたね。
0から考え直した
本当に自分の心に響くものとは
ボーダレスアカデミーを、実際に受講してみてどうでしたか?
実は参加する前は、都内でNPOに携わっていたんです。1人暮らしのシニアと上京した地方の学生をマッチングさせるシェアハウスを運営していました。そもそもそれを、 ビジネスという形で継続的にできるようにしたいという想いがありました。
最初は、この社会問題に対してやっていこうと思っていたんですが、アカデミーに通って感じたのが、同期の熱量の高さなんですよ。
その課題に対して、心からこれを解決したいと思ってる人たちが来てるんだっていう感じがして、 僕はそれをきっかけに、ソーシャルコンセプトを0から考え直しました。
だからこそ、アカデミーの中で起業した時も、シニアと学生のマッチング以外に自分にとって、琴線が触れる部分ってなんなのかな?とずっと考えていましたね。それがわかっただけでも収穫だと思っています。
いまも大切にしている
3つの言葉
受講した中で、印象に残ってるお話を教えてください。
3つあります。まず1つはボスの話で、ソーシャルコンセプトと、ビジネスコンセプトの違い。通常は市場の大きさとかを調べて、そこから事業をつくっていくと思うのですが、結局僕らがやろうとしてることは、「どういう社会を作りたいのか」というところだよね、と。
どんな痛みがあって、どんな方法で解決して、最終的にはこんな社会を作りたいっていうコアな部分が、1番大事なんだというところが すごく印象的でした。その考え方は、今も僕のベースになっています。
2つ目もボスの言葉ですが、 結局失敗っていうものはなくて、続けていく限り、その成功のプロセスでしかないということ。
今、起業家としてやっていく中で勇気をもらえた言葉だなと思っています。
事業なんて予定通りには絶対行かないから、とにかくピボットしまくるんです。そのたびに思い出しますね。事業の方向を変えたとしても、いい方向に近づいていってるなって考えを持てるのは、やっぱあの言葉があったからだと思います。
3つ目が、アドバイザリーボードのYAMAP春山さんですね。Follow your bless(フォローユアブレス) =「自分の心が動くっていうことを大事にしようね」っていうような意味だったと思います。ソーシャルコンセプトを考える中で、何回も自分にとって心が動くのはなにかと考え続けていました。春山さんの哲学的な話が僕はすごく好きなんです。
どんな世界をつくりたいか?
一番苦労したソーシャルコンセプト
参加した中で、ここが大変だったところを教えてください。
ソーシャルコンセプト作りですね。
つくっていく中で、それっぽいモノを量産しちゃうんですよ。
例えば、プラスチックの問題を解決したいとして、それは概念としてはいいことなんですが、それを深堀りして、「じゃあ、どんな世界作っていきたいのか?」って言われた時に、自分のオリジナルになってないっていうことが多い。僕もみんなも、そこにすごく苦しむんです。
1番初めに僕がそのソーシャルコンセプトとして作ってたのは、「畜産のお肉っていうのが環境にあまり良くないから、大豆ミートに代替させて、環境負荷に優しい世界をつくる」ということでした。一見すると良さげなんですけど、結構普通というか……。ありきたりなソーシャルコンセプトになっちゃうところが、就活で言うと自己分析が足りていないことに近いと思います。
見つけるまでのプロセスが堂々巡りで、すごくきつかったですね。
これも就職活動と一緒で、「自分が今までどういう生き方をしてきて、こういうことをやりたいんだ。だから、御社に行きたいんです。」っていうのが、本当に自分の中で腹落ちしてる人は、自分の言葉で喋ってるんですよね。言霊になってるんですよ。結局それが相手に伝わるし、ストーリーにもなる。
あとはもうビジネスコンセプトも、それっぽいものができても、いざやってみたときに、 本当に自分の心が乗っかり切ってないなって、自分ではわかっちゃうから消化不良になってしまう人が多いんじゃないかなと思います。
どうやって乗り越えられたのでしょうか?
僕は、考えながら走ったっていう感じです。
ソーシャルコンセプトが中々しっくりこなかったんですよ。
そもそも環境問題があって、蓄産の問題があって、これを解決するために大豆ミートっていうものがある。これはいい。息子のためにも、これでやろう!って決めたんですけど、ソーシャルコンセプトに落とし込むのに、自分の心の奥底にあるモノを言語化できない。
僕の場合は、一旦走らせよう!と思って、事業化するためのことを考えながら、 もう10回以上半年ぐらいかけて、自分が納得するまで、何回も書き直しました。今ではそれが企業理念に通じています。
ソーシャルコンセプトを最後までやりきったことは、すごく良かったですね。またブラッシュアップすると思いますけど、今は1番しっくりきています。
目指すは、
エコフレンドリーな循環社会。
今後のビジョンを教えてください。
今は大豆ミートのブランドをやっているので、まずはこれを広げていく上で生まれるソーシャルインパクトの拡大(環境負荷を削減)を目指しています。
牛肉などの畜産物を大豆ミートに変えることで、水や穀物、メタンガスを大幅に減らすことができます。その上で僕らは、きっかけ作りのブランドでいたい。
ソイクル自体のコンセプトが、この地球にエコフレンドリーライフスタイルをって書いてあるんですけど、その生活を日本のスタンダードにしていきたいですね。
もちろんそれは大豆ミートだけじゃないので、コンポストだったり、ハチドリ電力だったり、 何か身近に取り入れられるようなことを、僕らを介してお伝えしていったらいいなと思っています。最終的にはそういう事業者さんを集めて、なにかを一緒にお客様に提供していければいいかなって思っています。
ソイクルを買ってくれるお客さまに、他のエシカルなアイテムを紹介したら、きっと喜んでくれると思うんですよ。そこはきっと、逆もしかりなので、エコフリー・エコフレンドリーの輪ができて、循環していけば嬉しいですね。
一歩踏み出せば、
3ヵ月で人生はガラッと変わる
いまアカデミーを検討している方に向けて、一言メッセージをお願いします!
僕が伝えたいことは、人生は3ヶ月で変わるよってことです。
アカデミーの期間がちょうど3ヵ月ですが、アカデミーで人生が変わりました!っていうことが言いたいわけじゃなくて……。
僕は、2021年の6月15日にソイクルっていう商品をリリースしたんです。なので、その3ヶ月前は2021年の3月で、その3ヶ月前は2020年の12月ですよね。
そうやって3ヵ月ごとに振り返ってみると、アカデミーも大事な3ヶ月間でしたが、息子の手術だったり、商品開発のために一生懸命事業計画を書いていたり、商品を発売したら、そのあとに、テレビやメディアで取り上げてもらえるようになったり……。大きな節目は、だいたい3ヵ月ごとに訪れていたんです。
前職では、スポーツトレーナーもやっていたんで、「3ヵ月で体変わりますよ。」って話をよくしてたんですよ。季節も基本3ヶ月で変わるじゃないですか。
でも、人生も3ヶ月でガラッと変わるなっていうのを、ここ2年ぐらいを通してかなり感じています。
はじめの一歩踏み出した先の自分の人生って、全然想像してないような世界が待っている。
今自分が経験しているので、 まずはアカデミーでも何でも行動してみて、その自分のこの人生の3ヶ月ってこんなに変わるんだなってことを体感してほしいなと思います。
白坂さん、ありがとうございました!
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