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「アイデアはまだない。それでも動いた」元教員が151校を動かす起業家になるまで|イベント開催レポート

8月5日(水)、22期の説明会+卒業生座談会として「教員から社会起業へ!社会課題への挑み方を知る」をテーマに開催しました!

累計130名以上の社会起業家が誕生した「ボーダレスアカデミー」の9期卒業生で、現在は教育と社会をつなぐ事業に取り組む、松下ゆか理さんをゲストに迎えました。50名を超えるお申込みが集まり、これまでの歩みをじっくり聞かせてもらう座談会になりました。

小学校教員、そして起業へ

長崎県佐世保市生まれ、小学校教員を通算15年務めた松下さん。授業も子どもたちとの関わりも大好きだった一方で、悩みのタネはもっと子どもと向き合いたいのに「終わらない業務」でした。実は小中高すべての校種で教員の悩み・不満のワースト1位は「授業準備の時間が足りない」こと。小学校教員ではなんと94.5%という高い割合を占めています。

不思議なのは、授業時間数はこの20年ほぼ変わっていないこと。それでも現場が苦しくなっているのは、教科の数や教科書のページ数がじわじわ増え続けていること、そして社会情勢に応じて積み重なる「〇〇教育」の存在。一つひとつは小さくても、蓄積すると大きな負担になっていました。「学校だけでは限界かもしれない。みんなで子どもたちを育てていく社会を作りたい」。そう思い至ったのが松下さんの起業の原点でした。

ここまで読むと、松下さんは教員時代からすでに課題も方向性もかなり明確だったことが分かります。ただ、これはアカデミーの中でも、割と特別なケース。実際にアカデミーへ参加する方の多くは、ここまでの解像度を持たずに一歩を踏み出している方のほうが実は多いです。「なんとなく気になる社会課題はあるけれど、自分に何ができるかは分からない」というスタートが、実はむしろ多数です。

学校と企業をつなぐ「SPOT TEACHER」

2023年に立ち上げたのが、出前授業支援サービス「SPOT TEACHER」。学校で授業をしたい企業と、専門知識を求める学校をマッチングする事業です。単なる仲介ではなく「コーディネーター」として、民間と学校現場の考え方のズレを埋める役割にこだわり、支援の手が届きにくい公立の小中学校を中心に届けてきました。

現在(2026年8月時点)、151事業・54校・85社とのマッチングを実現し、新規で届けた生徒数は8,000人以上!ほぼすべてが公立学校での実績です。今ではメディア出演やコメンテーターとしての発信も行うようになりました。

「絶対うまくいかない」と言われながら踏み出した一歩

起業に際して、松下さんは「うまくいかない」「教育が絡むと難しいのでは」という声を数多く受けました。それでも動けたのは、退職前に福岡市の教員121名にアンケートを実施し、97%が「こういう仕組みがあれば嬉しい」と回答してくれていたから。最初の1年間は収益を度外視した「あえてのボランティア期間」。欲しかったのはお金ではなく実績でした。ひたすら企業や学校に会いに行き、市議会議員にもアポを取って会いに行きました(40名にメッセージを送り、返信のあった20名全員と面会・・!)。

「3年後どうなっていたいですか?」事業が広がるにつれ、松下さんはそんな展望をよく聞かれるようになりました。それでも、答える軸ははっきりしています。

「関わった人が少数でもいいから、私と出会えてよかった、この事業があってよかったと思ってもらえたら、それでいい」。売上規模や展開スピードを語らないのは、それを語った瞬間、助けたい相手を自分の目標のために動かすことになってしまう気がするから。壮大な計画を立てなくても、目の前の一人と誠実に向き合い続けることの積み重ねが、今の実績につながっています。

参加者からの質問に答えて

チャット欄には次々と質問が寄せられ、松下さんも「答えきれるかな」と笑いながら一つひとつ丁寧に答えてくれました。ハイライトをいくつか、ご紹介します。

■ビジネス知識ゼロからどう学んだのですか? 

A:ビジネス領域はめちゃめちゃ分からなさすぎて、アカデミー時代1番劣等生だったと自分で思ってます。飛び交うビジネス用語が本当に分からなくて、携帯で『今のカタカナ何?』みたいな感じで検索しながら受けてたくらい(笑)。

だからこそ、ビジネスで成功してる社長さんとかに話を聞きに行く。同じぐらいの立場の人たちと、どうしよう、どうしようって言い合ってても解決できないし、時間の無駄だと思っていて。プライドも何もなく、ひたすら聞きに行くんです。中には『教育のこと分かってないな』みたいなことを言う人もいるんですけど、ビジネスのことが分からないからこそ、いろんな人に話を聞いて、それをとにかく小さくでもいいから始めてみました。

■ボーダレスアカデミーで一番学べたことはなんですか? 

A:1番大きいのは、言語化をきちんとしていただいたのがとっても良かったのと、同期ができたところ。あとアカデミーに通うと、メンターとして社会起業家の方々がついてくれるんですけど、もうめちゃめちゃ頼らせていただきました。

■働きながらどう時間を捻出したのですか? 

A:『うちの学年は水曜日に学年会するから』って決めて、水曜日は定時で帰れるように設定してました。その時間をアカデミーに充てて。大変かなと思っていたのは、私だけじゃなくて、みんな一緒でした、アカデミー生は。みんなしんどいねって言いながらも、だからこそ同期のいる良さですよね。

■実績のない最初期、どう周囲を巻き込んだのですか? 

A:今まで私が出会ってきた、社会課題を解決したいと思ってる方の共通点があって。自分たちの社会課題をまず知ってほしい、っていうところを先に伝えるのに重きが置かれすぎていると感じています。でも、相手にとってのメリットが分かりにくいと、協力者は増えないんじゃないかなって。だから学校で事業してくださいって声をかける時は、『代わりに学校で事業してくださったら、私が全力で広報します』って、とにかく言ってました。

「アイデアが固まっていなくても大丈夫」

参加者からの質問の中でも、多くの人の背中を押したのがこのやり取りでした。「ビジネスアイデアが決まっていない状態でも、アカデミーは受けられるのか」という問いに、松下さんはこう答えました。

「助けたい対象者がいたら、アイデアが固まっていなくても参加していいと思います」

当時の同期は30名近く。事業プランの中身は在籍中にほとんど全員が変化した一方で、誰一人として変わらなかったのが「助けたい対象者」でした。

「アイデアではなく、解決したい社会課題があって、そのためにビジネスという手法を使う。だからアイデアは変わっても、助けたいものがあれば大丈夫」。

集中講座では、まさにこの「助けたい対象者は誰か」を、ワークとディスカッションを通じて一段ずつ言語化していきます。

同期との再会が教えてくれたこと

座談会の終盤、松下さんが嬉しそうに共有してくれたのが、同期とのエピソードです。不耕起栽培に取り組む同期の男性と、卒業から約4年ぶりに再会。松下さんは自身が関わる生徒たちを彼の畑に連れて行き、「久しぶりに会って、お互い頑張ってるよねって」。同期という存在は、長い時間を経てもつながり続けています。

まずは説明会へ

「まずは2日間の集中講座に参加」というのが、少しハードルが高く感じられる方もいるかもしれません。そんな方は、ぜひオンライン説明会にてお待ちしております。22期募集の開催は残り2回となります!

8月18日(火)19:30〜21:00
9月3日(木)19:30〜21:00

8月18日の説明会では、ボーダレスアカデミー代表の半澤が登壇し、次のようなテーマについてもお話しします。

・新コースの受講生の様子や
・「集中講座」は今のフェーズで受講すべきか

集中講座のほかにも、7月から開講した「AI実践×ソーシャルビジネス」「マーケティング×ソーシャルビジネス」を学ぶソーシャルビジネス実践プログラムや、夢中教室(ワオフル株式会社)への訪問、子どもの貧困に向き合うNPO法人Learning for Allを訪れる現場ツアープログラム(8月実施)もスタートしています。実際の参加者の声や、今あなたが抱いている社会課題への想いをどうカタチにしていくか、そんな相談も気軽にできる場となります。

「まだ社会起業やソーシャルビジネスについて知りたいだけ」という段階でも、もちろん歓迎です!松下さんが振り返っていたように、アイデアが固まっていなくても動き出していいのだとしたら、その一番小さな一歩として、この説明会参加を検討してみてください!

22期集中講座の募集締め切りが近づいています

第22期 集中講座は9月12日(土)・13日(日)の2日間開催(都合が合わない方向けの動画視聴コースもあり)。そこから3ヶ月かけて事業計画書を完成させる社会起業伴走コースへとつながります。

松下さんの話を振り返ると、アカデミーが後押ししてくれたのは「壮大な事業計画」ではなく、「助けたい対象者は誰か」を言葉にし尽くすプロセスと、それを一緒に磨いてくれる同期・メンターの存在でした。

教員時代からの明確な課題意識があった松下さんでも、アカデミーに入って初めて解像度が上がったと言います。今はまだ漠然とした関心しかないという状態のスタートから、自分はどう社会課題と関わっていきたいのか、その像とこれか自分の解像度を上げたい、そんな機会として、参加して良かったという声も多くあがります。

第22期 集中講座の申込締切は9月9日(水)となります。

2日間の集中講座へのご参加をお待ちしております!

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